劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』の英語吹替版のセリフを見て、日本語との違いを味わいながら、楽しく英語学習をしていきます。
「前におめえに言ったよな。自分の運命からは逃げるなって。俺も逃げたくねえんだよ」は英語で?
今回のセリフはこちら。
コナン: 灰原? 灰原: ダメよ お願い コナン: 前に おめえに言ったよな 自分の運命からは逃げるなって 俺も逃げたくねえんだよ 灰原: 工藤君…
名シーンですね!
キュラソーのスマホの解析を阿笠博士にお願いしたコナンくんは、キュラソーが送信したEメールにバーボンとキールの名前を見つけます。
バーボンとキールが黒の組織に潜入しているスパイだとバレてしまうという危機に、博士との会話を終えて部屋を出たコナンの腕を、灰原が掴みます。
英語吹替版のセリフはこちら。
Conan: What is it? Ai: Kudo… Please. Conan: I told you before, didn’t I? You shouldn’t ever try to run from your destiny. And I’m not gonna run either. Ai: My destiny…?
では、見ていきましょう。
英語の意味・表現・文法、日本語との比較
灰原?
Conan: What is it? コナン: 灰原?
日本語オリジナルの名前呼びに対し、英語では「どうした?」という感じですね。
より直接的な響きです。
ダメよ お願い
Ai: Kudo… Please. 灰原: ダメよ お願い
日本語オリジナルでは「工藤くん」と言っていません。
元は「ダメよ」ですから、Do not のような要素が入るかと思いきや、入らないのですね。面白いです。
日本語の「ダメよ」って素敵な響きですよね。好きです。
前に おめえに言ったよな
Conan: I told you before, didn’t I? コナン: 前に おめえに言ったよな
ここは日本語とほぼ同じニュアンスですね。
didn’t I? は付加疑問です。「したよね?」と疑問のニュアンスを付け加えています。
自分の運命からは逃げるなって
Conan: You shouldn’t ever try to run from your destiny. コナン: 自分の運命からは逃げるなって
run from your destiny で、「(あなたの)運命から逃げる」、は良いでしょう。
try to があるので、「逃げようとする」というニュアンスになりますね。
shouldn’t ever がオシャレです。これが自分の口から出せたらカッコいいですね。
not + ever で never ですから、「決して逃げようとすべきではない」という感じですね。
ちなみに、not … ever よりも、never の方がより多く用いられるとのことです。
だからこそ、ここの shouldn’t ever の形は目を惹きますね。
俺も逃げたくねえんだよ
Conan: And I’m not gonna run either. コナン: 俺も逃げたくねえんだよ
not gonna (= not going to) なので、「オレも逃げるつもりはない」という感じですね。
これも意志の強さを感じて、素敵な英訳だなと思います。
工藤君…
Ai: My destiny…? 灰原: 工藤君…
こちらは先ほどとは逆に、日本語オリジナルでは「工藤くん」と言っているのに対し、英語では destiny (運命)と言ってしまっています。
まぁ直前で Kudo… と言っているので、また Kudo… と繰り返してしまったらしつこくなってしまいますね。
うーん、やっぱりここは日本語オリジナルの「工藤くん…」で終わる方が好きですね。含みを持たせる感じがあります。
皆さんはどう思いますか?
コナンの「前におめえに言ったよな」って、いつのこと?
ところで!
コナンが前に灰原に、自分の運命から逃げるなと言ったのは、コミックス第29巻の「謎めいた乗客」ですね。
アニメでは第231話「謎めいた乗客(後編)」です。
逃げるなよ 灰原 自分の運命から 逃げるんじゃねえぞ
赤井秀一の初登場回でもありますが、哀ちゃんを語る上で外せない大切な回です。
この頃の哀ちゃんは、私のせいでみんなに危害が及ぶなら、私が死んでしまえばいいと考えることも多かったかと思います。
爆弾の仕掛けられたバスの中に一人残り、消えてしまおうとしていた灰原を、コナンが決死の覚悟で救い出します。
灰原の生き方を変えた、間違いなくターニングポイントの一つと言って良いでしょう。
さらに、もう一つ。
コミックス第34巻の「迷宮のフーリガン」、アニメでは第280話「迷宮のフーリガン(後編)」より。
灰原: あなた 言ったじゃない コナン: え? 灰原: “逃げるな”って “運命から逃げるな”って 言ったじゃない 守って… くれるんでしょ? コナン: あ… ああ 灰原: まあ 私は あなたが考えてるような 守ってくださいっていう か弱いお嬢様じゃないけどね
灰原が電車に乗って遠くに消えていってしまうかもしれないと思い、コナンが灰原を追いかけたシーンです。
これらを踏まえた上で、『純黒の悪夢』のこのシーンを見ると、たまらないですね。
過去のセリフの引用が、物語に厚みを持たせます。好きです。
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